瀬をはやみ

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さっさと戻ってきた私に、ことみはにやけながら聞いてくる。 「で?どうだった?」 「え?何が?」 今日のお弁当も、彩りバランスともにばっちりだ。 前はお祖母ちゃんに作ってもらっていたけれど、どうしても私の好きな物ばかり入れたがるので、教えてもらって、自分で作るようになった。 ささみは高タンパク低カロリーなんだよな。 もぐもぐとささみのピカタを味わう私に、お箸に突き刺した卵焼きをぐいと突き出して、ことみがインタビュアーのように聞く。 「とぼけないの。 丸山君に、何て言われたの?」 「ああ、何だかつらいことがあったみたいよ」 「はあ?」 きっと彼も、自棄を起こさずに何だかわからないけど、そのつらい出来事を乗り越えてくれるだろう。 同じころ、裏庭では、丸山君がガックリとうなだれて、失恋というまさにつらい出来事に直面しているところだったとは、知るよしもない。
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