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「心外だな。
婚約者は十分、関係者だろ」
そう言って彼は、ふっと眉間のしわをほどくと、私の肩を抱いたまま、反対側の手で私の髪を撫でる。
「ええっ、婚約って、さゆりん、どういうこと!?」
「早百合、結婚するの?」
千里は興味津々、鈴宮は焦り顔で、私に迫る。
「え、あ、その」
確かに、付き合い始めの頃に、そんな話も出たような……。
そう言えば、私の誕生日の前日、大誠さんが私の両親に挨拶に来ていたような……。
私はちょうど塾の講師のバイトがあったので、何の話をしていたのかは知らないんだけど。
「大誠さん、婚約って……」
「ん?前に言っただろ?
結婚を前提に、付き合うって」
「嘘だろー!?」
私よりも、鈴宮が悲鳴を上げた。
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