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その思いが、大声となって、出てしまったわけで。
彼がニヤリと笑った瞬間、私はここが、大学の構内で、しかも卒業式を終えた学生たちが大勢いることを思い出した。
「あ……」
「こんな熱烈な告白、初めて聞いたわ」
と、千里がニヤニヤしながら、私の背中をバシッとたたく。
「森さんも、これだけ想われていたら、幸せでしょ?」
「そうだな」
大誠さんの笑顔は、もうそれは黒々しいもので、私に公開告白をさせる為の、彼の策略だったと思い当たった。
「ひ、ひどいっ」
「いいじゃん、俺は満足したから」
彼の腕が私を封じ込めるようにして、耳元で囁かれる。
「あんまり、妬かせるなよ」
大誠さん、妬いたの?
私が見上げると、彼はもう知らんふりをしていた。
そんな私たちの横では、鈴宮が固まっていた。
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