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その後、両親とは軽く話しただけで、私は早々に大学からとんずらした。
名残を惜しむ間も、あったものじゃない。
あんな恥ずかしい場面、みんなの記憶から抹消したい!
「まだ、怒ってんの?」
のんびりと、ご機嫌な様子で、大誠さんが後ろからついてくる。
当たり前だ!
私が足音も荒く、速足で歩いていても、彼は全然気にした風もなく、その長い足で簡単についてくる。
「あーあ、もうちょっと着物姿、見ていたかったのに」
「レンタルなんで」
さっきは、私の格好に何も言ってくれなかったのに、着替えた後で言われても困るというものだ。
「早百合は着物姿も似合うよな。
胸は大きいのに」
「なっ」
破廉恥なことをサラッと言われて、思わず振り返ると、彼がニヤリと笑っていた。
「胸が大きいと、着崩れしやすいって、亜希子が言ってたから」
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