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大きいなら大きいなりに、タオルとかさらしで、対処のしようがあるんです!
と、具体的に説明するわけにもいかず、私はまた、くるりと前を向いた。
「そろそろ、こっち向いて欲しいんだけど」
という声と同時に、後ろから肩に腕が回された。
「た、大誠さん、ここ、道……」
「誰もいないって」
耳元でちょっとかすれた甘えるような声が囁く。
「……悪かったよ」
ずきゅん。
こうなったらもう、私は動けない。
「俺より先に、あいつが着物姿を見たり、あんなこと言われてたりしたら、面白いわけないだろ?」
言ってることは、ちょっと俺様風味だけど、でも甘い。
「本当は、誰にも見せたくなかったんだけど」
ぎゅう、と腕に力が込められる。
その圧迫感が、彼の想いを表しているみたいで、さっきまでの怒りも銀河の彼方だ。
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