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そんなに行きたかったのなら、途中のコンビニに寄ればよかったな。
私がどうぞ、と手で指し示すと、大誠さんはものすごく微妙な顔になった。
「……確かに、下ネタではあるけど」
ちょっと興奮状態が落ち着いたようで、彼は鍵を開けると、私の背中を押した。
「いえ、私は大丈夫ですよ?」
もよおしているのは、そちらでは?
キョトンと振り返った私の視界が、いきなり暗くなった。
唇が、温かいもので覆われている。
というか、翻弄されている、と言った方が正しい?
彼の唇が、舌が、私を食べつくすかのようにぐいぐいと侵食していく。
まだ息も整っていなかった私は、苦しさでもがいたけれど、全身がドアと大誠さんに挟まれてしまって、身動きが取れない。
「んー、んーんっ」
ドンドンと彼の胸をたたいて、SOSを発信すると、ようやく少し距離が開いた。
「ぷはっ」
ハアハアと息をつくと、彼が顔を近づけたままで言った。
「俺が大丈夫じゃないんだけど」
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