517人が本棚に入れています
本棚に追加
「で、ですから、こんな事をしている場合じゃなく、早くトイレに……」
「ああもう!」
再び苛立ったように叫ぶと、大誠さんは、まだ靴も脱いでいない私の手を引っ張って、奥にずんずんと進んで行く。
慌てて、空いている方の手で靴を脱いだけど、揃えて置く間もなく、廊下に落ちていく。
「く、靴が」
「そんなの、いいから」
乱暴なくらいの勢いで連れ込まれたのは、トイレではなく寝室だった。
良かった、トイレじゃなくて、と喜んでる場合ではない!
ようやく、私は彼が焦っていた理由に思い当たった。
「ここまで我慢したんだ、もう好きにさせてもらうから」
ここまでって、そんなに長い道のりでもなかったような。
おたおたと視線をさまよわせるうちに、彼は私に食らいつくかのように、ベッドに押し倒す。
それでもその手は、私の背中をきちんと支えてくれていたんだけれど。
「あ、あの、まだ昼間ですけど」
最初のコメントを投稿しよう!