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大誠さんは、私が彼を煽るのがうまいと言う。
そんなつもりは全くないんだけど、私が彼を想う気持ちがダダ漏れだからなのかもしれない。
そういう彼も、私を喜ばせるのがうまいと思う。
だって、何の記念日でもない夏のある日。
仕事帰りに私がバスを降りたところで、大誠さんが立っていた。
「あれ、今日は早いんですね」
と私が駆け寄ると、彼は軽く顎を動かして、私に歩くように促す。
そんな何気ない仕草までも、ドキドキしてしまうくらいにかっこいい。
「ちょっと、コンビニ」
特に用事のなかった私は、雑誌コーナーをぼんやりと眺めて待っていた。
何気なく目にとまる、結婚情報誌。
ウェディングドレスかあ……いつか着たいなあ。
でも、大誠さんは和装も似合いそうだし。
いやいや、私ってば、何を考えているの!
いくら、彼が婚約者って言ってくれたからって、別に正式に結納を交わしたわけじゃないし。
それでもいつかは、と思ってしまう。
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