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何だろう、と引っ張りだしてみると、何やら予感をさせる、手のひらに乗る大きさ。
「大誠さん、これ……」
「いいから、早く」
言われたとおりに開けると、私の予想よりもはるかに輝くものが現れる。
私がポカンと口を開けたまま、大誠さんを見上げると、彼は口元を手で押さえて横を向いていた。
「大誠さん」
「……サイズ、大丈夫か?」
私はちょっと考えてから、箱ごと、彼の方に差し出した。
「はめてください」
はめる指も、はめられる指も、少し震えていた。
私の左の薬指に収められた指輪は、コンビニの照明を受けて、それでも煌いている。
「いいのか、あっさりとはめてしまったけど」
ちょっと不安そうに、彼が訊く。
渡すまでは、あんなにぶっきらぼうな態度だったのに、このタイミングで確かめるなんて、今更な気もしておかしかった。
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