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「ていうか、何でことみは鈴宮のこと、知ってるの?」
「え?早百合、知らなかったの!?」
びっくり返しをされてしまった。
「だって、学年違う人なんて、接する機会もないもん」
「いや、それ以前だって!
あんな有名人、普通に情報入ってくるでしょ」
「昨日まで、知らなかったけどね、私は。
そこまで有名じゃないんじゃない?」
私がのんびりと言うと、ことみは大げさなくらいに目を見開いた。
「あんたが知らなかっただけだって!
鈴宮海斗、2年1組、身長175センチ、体重58キロ、おうし座のA型、得意な科目は体育、好きな食べ物はトウモロコシ!」
いや、そんな情報、これっぽちもいりませんから。
「中学時代から、そのモテっぷりは伝説になっていて、進路指導の教師から、受験する高校は合格するまで内緒にするように言われたらしいよ。
そこに女子の受験が集中してしまうからって」
「どうでもいいんですけど」
と、私が言いかけた時。
「卒業式は、俺との別れを惜しむ女子の列が、校門から地元商店街までのびたものさ」
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