年下男の視点

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そんな俺が、初めての挫折を味わったのは、高2の時。 本屋で偶然ぶつかった彼女は、俺と同じ高校の制服だったにもかかわらず、俺を認識していなかったんだ。 ありえねーだろ!? いや、仮に万が一、俺が自意識過剰で、全校の女子が俺を知っているというのは大げさだとしてもだよ? 鈴宮海斗を知らなかったとしても、目の前にこんなイケメンがいたら、多少は動揺するだろ? なのに彼女は、一ミリも揺るがなかったんだ。 さっさと本を返してくれと言わんばかりに、イライラしながら俺を見ていた。 だから最初は思ったんだ、彼女はきっと恥ずかしくてテンパっているだけの、ツンデレだって。 俺のファンクラブに協力してもらって、やっと彼女が一つ上の学年の、吉水早百合だってわかった。 いや、実はさ、さゆりんはちょっとした有名人だったんだよ。 本人は気づいていないみたいなんだけど、短期間で大変身した、ビフォーアフタービューティだって。 つまりは、前の姿とのギャップがすごいけど、今は美人だってこと。
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