年下男の視点

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おかしな話だけど、なかなか俺を見てくれないさゆりんだからこそ、惹かれたのかもしれないな。 ぶれない、真っ直ぐな心。 それがさゆりんの一番の魅力なのかな、なーんて。 俺は半分意地になって付きまとううちに、本気になってしまったんだ。 吉水早百合という、一人の女性に。 卒業式の日、俺は彼女に告白した。 「君は気づいてなかったと思うけど……好きだ!さゆりん! 俺と付き合って!」 「それ、先月も言われたけど」 しまったー! あんまり振り向いてくれないから、しょっちゅう好きだ好きだと猛アピールしてて、麻痺してしまってた。 「いや、その、これは本気の告白なわけで」 「じゃあ、今までのは嘘だったの?」 「いや、嘘ってわけじゃ」 しどりみどり(しどろもどろだって!)に言い訳する俺に、さゆりんは呆れたようにため息をつく。
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