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高校生になると、周りの女子はもう本当に華やかになっていた。
校則では禁止だったけど、半分くらいの子はお化粧をしていたし、髪のカラーリングやパーマもしているみたいだった。
中学から仲のいい君塚(きみづか)ことみも、その一人。
目立たないようにはしてるけど、それなりにお化粧してるし、ピアスも付けてる。
「早百合も、もう少し、自分に手をかけなよ」
お弁当を食べた後、ポーチから鏡を出しながら、ことみが言う。
「手の施しようがないから、いいよ」
「はいはい」
何を言っても私が首を振らないことを知っているので、ことみもそれ以上は言ってこない。
男子の視線は、いつも私を素通りしていく。
私に目を止める男は、生活指導の先生か、荷物を届けに来る宅配の人くらい。
それでいいと思っていたし、そんな日が続いていくと思っていたんだ。
そんな日常が崩れることになったのは、ある日曜日。
お祖母ちゃんに頼まれて、頂き物のサツマイモをおすそ分けするために、隣の家に行った。
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