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私がしみじみと呟くと、彼女はあっさりと言った。
「え?いかないわよ?」
「で、でも結婚するんでしょ?」
「ああ、彼が婿養子に入るの。
うちはほら、娘しかいないからさ。
親はどっちでもいいって言ったんだけど、彼がそういうところ、古風でね。
ちょうど三男だからって、彼がお婿に来るの」
はあ、なるほど。
あき姉は羽田亜希子のままってわけだ。
「それよりもさ、早百合。
結婚式、来てくれるでしょ?」
がしっと私の肩に腕を回して、彼女は妙にどすのきいた声で聞く。
「え、行ってもいいの?」
「当たり前でしょ、あんたは私の大事な教え子なんだから」
確かに、美人になるために色々ご教授いただきました。
私がこっくりうなずくと、あき姉の笑みは深くなる。
ただし、どこか悪魔の笑みに見えたのは、気のせいだろうか。
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