今はただ

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違うって! 舎弟なんて言ったら、どこぞの組の構成員みたいじゃないの! 「羽田さんのお宅の隣に住んでいます、吉水早百合です。 亜希子さんには子供のころから、仲良くして頂いてます」 私がきちんと挨拶を返すと、やっと大誠さんがこっちを見た。 「え?隣の?」 「へえ、君が噂の。 僕は亜希子のいとこの森宗次朗(もり そうじろう)です」 ってことは、彼が大誠さんの弟さんか。 名前だけは聞いたことがあったんだけど、会うのは初めて。 だけど、この際彼のことはどうでもいい。 重要なのは大誠さんだ。 彼は腕組みをしながら、顎を軽く上げて私を見据えた。 ちょっと、見下されたような気がしてしまう。 「へえ、あのサツマイモがねえ」 ううう、やっぱり人間の第一印象って大事なんだね。 でも、何だか彼の言葉に、いちいち棘を感じるのは気のせいだろうか。
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