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ぽっちゃりメガネだった時の私には、大誠さんはとても優しく微笑んでくれたのに。
一応、美人だともてはやされるようになった今の私に、彼はとても冷たい視線を送ってくる。
な、何で?
そりゃ、前に見た彼女には及ばないかもしれないけど、射程範囲にはまだ入ってないってこと?
「まあ、俺狙いじゃないのはわかったから、もういいや」
いえ、がっつりあなた狙いです、とも訂正できず。
かと言って、これ以上食い下がる度胸もテクニックも持ち合わせていなかったので、なすすべもなく、彼の背中を見送る。
「何、君、兄貴と知り合いだったんだ?」
まだそこにいた宗次朗さんが、ちょっと考えるそぶりをしながら、話しかけてくる。
「はあ、まあ」
サツマイモが結んでくれたご縁でね。
「まあ兄貴はしょっちゅう亜希子の家に行ってたもんな。
ああ、いつだったか、変な女子高生に会ったって笑ってたっけ」
もしかして、それって。
「めっちゃ、イモ好きなんだって」
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