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けど、不思議な事に、戦いを重ねていくほどに、アイツの力に対する不満は薄くなっていった。
しだいに勝つとか負けるとか、という気持ちも薄らいでいく。
ただ、純粋に楽しい。
戦うこともだけど、アイツと居る時間が楽しく思えるようになっていた。
自分の心境の変化が、何によってもたらされたものかは分からない。
だけど、アイツの儚げな笑顔を見ていると、胸がざわめく。
感じたことのないざわめきは、胸の奥をジンワリと温める。
あたしは、この温かさの意味を知ろうとは思わない。
ただ、今この時を思う存分、楽しみたい。
勝てなくても良い、アイツと戦う時間を楽しみたい。
それだけが、あたしの願望――
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