はじめての感情

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あたしたちは、戦う場所を移し対峙していた。 いくらあたしが戦いを求めているといっても、町のど真ん中で戦うような非常識さは持っていない。 あたしは、以前から自分の強さを確認するために、強そうなヤツを見つけては、この場所で戦っていた。 ここは、乾いた大地に長年にわたり吹き付けた風と雨の浸食で、大小様々な高さの石柱が作り上げられた場所。 見上げるほどの高さの物もあるし、背丈に満たないほどの物もある。そんな石柱が多数あるが、平地部分もかなりある。剣を振るう邪魔にはならない。むしろ、その石柱群が程よい死角を生み、より高い緊張感で戦うことができる。 はるか上空に舞い上がり大地を見下ろしていたソイツが、黒い翼を羽ばたかせ大地に足をつく。 自分の身体には不釣り合いな大剣を手にするあたしを一瞥し、ソイツは自身の細い身体に合った細い長剣を構える。 あたしは高まる興奮に身を任せる。 あたしの内にある闘争本能を剥き出しにする――
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