はじめての感情

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「ねえ。また、あたしと戦ってくれる?」 渇れることの無い闘争本能に、ソイツは驚いていた。しかし、その要望を軽く微笑みながら承諾してくれた。 あたしたちは、この場所での再戦を約束した。 それから数日おきに、あたしたちはこの場所で戦っていた。 けど、何度、剣を交えようとも、あたしが勝てることはなかった。 だって、仕方ない。 アイツは空を舞う翼だけでなく、魔法さえも使うのだ。 あたしは己の筋力で地を駆けるしかできない。色々とあたしは劣っているのだ。 それを不服そうに訴えてみるが、ソイツはあの日みたいに困ったような笑顔を見せ、 「こればかりは、どうにもならないな」 と、言うだけだった。
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