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「やっぱり背が高いとカッコいいねぇ」 キラキラな目をした奏音が秀君に問いかける。 奏音が選んだ服は女の子っぽい上にヒールを穿かされ、170を超えてしまった。 大女。 そんな私が隣に並んでも滝川琉生はまだ背が高い。 「二人並ぶとモデルさんみたいぁい」 諸手を挙げて喜ぶ奏音。 奏音が選んでくれた服を着てテンションは上がるけれど、滝川琉生の横に並びたいのは奏音の方でしょ? 「写真撮ろう!」 水族館に行く前からテンションが高い奏音は至る所で写真を撮りたがる。 しかも私と滝川琉生のツーショットを。 「奏音、うちらだけじゃなくて出来れば4人とかほらね」 「そっか。二人がめちゃくちゃカッコいいから思わず。 じゃあ!」 と、バックの中から自撮り棒を取り出しす奏音。 そんなものまで準備しているとは・・・ 私・奏音・秀君・滝川琉生の順に並んでパチリ。 いや、だから・・・ 奏音に気付かれないようにそっと息を吐く。 この場合、私が気をきかせて秀君を連れ出した方がいいのかな? って、気が付くと奏音は秀君と楽しそうに話して滝川琉生の機嫌があんまりよろしくない感じが・・・ 「何が好きだ?」 「は?」 急に滝川琉生に話を振られてきょとんとなる。 「魚」 何も答えない私に一言。 「何の魚が好き?って事?」 「水族館に来て動物聞く訳ないだろうが」 あ、はい。なんかすみません。 理不尽な感じ。なんで私がこんな目に。 「奏音は熱帯魚が好きだって言ってたから。ここ熱帯魚のコーナーあったよね?」 「それなら秀と観に行った」 はや! てか奏音、ホント好きな人とお喋りできないかもしれないけどもう少し滝川琉生と行動を共にしないと、勘違いされちゃうよ! 「それじゃあ私たちも見に行く?熱帯魚」 「熱帯魚好きなのか?」 「好きか嫌いかで聞かれたら、まぁ好きなんじゃないかな。多分」 可愛いとは思うし。 私的にはクラゲの方がゆらゆらと気持ちよさそうで好きだけど。 奏音たちの後を追うように熱帯魚コーナーへと向かう。 少し薄暗い部屋。 ライトアップされた水槽。 その中を泳ぐ色とりどりの熱帯魚。 そんな水槽の前でキラキラとした笑顔で秀君と話す奏音はとっても可愛い。 チラっと隣を見上げると苦しそうな顔の滝川琉生。
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