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「さて」 そう秀君がテーブルに肘をつき顎の下で手を組んでまるで何かの議長のように口を開いた。 あれから静かなところで話した方がいいだろうと水族館を後にして秀君の家に連れてこられた。 凄い豪邸・・・ おのぼりさんみたいにキョロキョロしながら家の中に入ってリビングに案内され椅子に座らされ、先ほどの秀君の『さて』を聞いた。 「羽音さんに一つだけ注意したい事があります」 ギロっと睨まれる。 怖いんですが。 「どうして女の子が一人で男二人に追っかけられることになったんですか? 直ぐ近くに僕たちが居たのに、どうして助けを求めなかったんですか?」 「それは・・・」 チラっと奏音を見ると、何故か奏音も怒ってる顔をしている。 「あの人たちを奏音に近づけたくなくて」 「だからって一人でどうするつもりだったんですか? 羽音さんは自分が女の子だって自覚ありますか?」 口調は優しいけれどしこたま怒ってるのがガンガンに伝わってくる。 「追いかけられてる姿を見た時の奏音の気持ち考えて」 もし逆の立場だったら? 奏音が男の人に追いかけられてる姿を見たら・・・ 「ごめんなさい・・・心配かけて・・・ って、今、秀君奏音の事呼び捨てにした?」 怒られてる最中だけど気になって思わず口にすると奏音の顔がちょっとだけ赤くなる。 ん? あれ? あれれ? 「奏音が好きなのって秀君?」 「どうして羽音は思った事なんでも口に出しちゃうの!」 奏音が大きな声で私に言う。 否定はしないんだ。 「でも、だって・・助けてくれたのって滝川琉生だよね? いやでも柔道してるの秀君だってさっき・・あれ?なんで?」 「なんでってこっちが聞きたい。 やっぱり羽音は勘違いしてたんだよね。 なんか変だなぁとは思ってたんだけど」 「最初に助けたのは?」 「秀君」 「英語が得意なのは?」 「滝川君」 「あれ?なんで?どこで?」 「どこでって何が?最初に言ったじゃない。 滝川君は英語が得意なんだよって」 「それは聞いたけど。 だってどう見たって滝川琉生が英語得意そうな気がしないんだけど」 「なんだよ。見た目判断かよ」 あ、失言。
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