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納得しな訳にはいかないだろう。
そして、ホッとしている。
なんでかなんて考えなくても分かる。
でも、素直に喜べない自分が居る。
だって、滝川琉生は奏音の事が好きだから。
ちらっと滝川琉生の顔を見ると、険しい顔。
ほら、やっぱり・・・
「あとは二人で話した方がいいかな?」
と、言うと奏音に『ちょっと』と立ち上がると私と滝川琉生を残して姿を消した。
なんで?
「ショック・・・だったろ」
「ショック・・・って言うか、ビックリ?に近いかな・・・私よりも滝川君の方がショックなんじゃない?」
私の言葉に眉を寄せる。
「奏音の事・・・す・・好きだったんだよね?」
長い沈黙の後に、はぁあああああと盛大なため息を吐き出す滝川琉生。
「もしかしなくてもそこからか」
「はぁ?」
何を言ってるのか分からずに思いっきり間抜けな声が出る。
ああもう!と頭をガシガシと?くと
「好きだ」
真正面から目を見てハッキリそう言った。
「うん・・・だから奏音の事ショックだったよね。
ごめんね。あんなハッキリと本人から秀君と」
「違う。お前が好きだって言ってんの」
「聞いてんのか?」
フリーズしたままの私に滝川琉生の不機嫌な声。
「き・・聞こえてます。
でも・・私が好きだって聞こえたんだけど。
奏音じゃなくて・・・え?間違いだよね?」
「なんでわざわざ間違うんだよ」
「だって・・・私だよ?」
「なんでだよ」
「だって・・奏音みたいに可愛くないし、大きいし、馬鹿だし。可愛くないし」
良いとこ一個もないのに、何を言ってるんだろうか。
「馬鹿かお前は」
「うん。馬鹿」
だから!はぁあああとまた大きなため息。
だって、私なんかを好きになるなんて有りえないもん。
「奏音じゃないよ?」
「知ってる」
「でかいだけの女だよ」
「俺からしたらちっせー」
確かに。いやいや。
世間一般、私はでかい女なんだけど。
「奏音」
「あのな、なんでお前と妹を比べる必要あんだ?
二人で一つの人格か?同じ人間か?」
「違うけど・・でも」
「ったく、なんだってこんな頭でっかちなんだ」
「だって。双子だもん。比べられるのが当たり前で、奏音に敵わないのが当たり前で。私なんか好きになる人なんて居なかったし」
「喜べ。第一号だ」
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