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「今すぐに返事が欲しいわけじゃない。 ただ、俺が好きなのはお前だって事だけ知ってもらいたい」 ずっと滝川琉生は奏音の事が好きだと思ってた。 奏音が好きな人を私みたいなのが好きになっちゃいけないって思ってた。 それが全部違ってるって突然言われても。 「二人・・呼んでくる」 私が何も言わないせいなのか滝川琉生が立ち上がる。 行ってほしくない。でも今ここで平常心で居られる自信もない。 どうしたらいいんだろう。 暫くして3人が戻ってきた。 「羽音?はーのーん?」 奏音が私の名前を何度も呼ぶ。 「奏音は・・・知ってたの?」 「ごめんね。 でも、こうでもして連れ出さないと羽音は会ってくれないでしょ?」 そうか。 今日のこの水族館は私の為のものだったんだ。 「あの・・突然の事でサッパリついて行けないんだけど」 「うん。なんだか予想以上に誤解してて私もビックリした。 まさか私が滝川君の事好きだなんて思ってるとは・・・」 「だって・・・そう思っちゃったんだもん」 「それだけ、羽音が滝川君の事意識してたって事かな」 「意識なんて! それに私なんかが奏音の好きな人の事思うこと自体間違ってるし」 「間違ってるってなに?人を思うのに正しい正しくないなんてあるわけないのに」 「だって私は」 「羽音は自分の事『私なんか』って思いすぎ」 「だって・・私は奏音の健康奪っちゃったから。だから奏音の事守るためだけに居るから」 「そんな事。 私が一人よりちょっとだけ健康じゃないのは羽音のせいでも誰のせいでもないよ。 それに私だって羽音の事守りたいよ? 姉妹だもん。羽音だけが私を守るなんておかしいよ。 まぁだいたい誰に吹きこまれたかは分かるけど」 奏音が溜息をつく。 「どういう事?」 秀君がそう尋ねると奏音が私を見る。 「羽音は羽音だよ。 羽音だから滝川君は好きになったんだよ。 だから、もうおばあちゃんの呪縛から解かれようよう」 「呪縛・・・」 「そう。 あんなの呪いの言葉だよ。 そんなものに羽音が惑わされる必要はないよ」 奏音が私の手を取る。 「羽音は羽音だよ」
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