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滝川君は、電車の中で雑誌を見た男の子達にしつこく言い寄られてた所を助けてくれたらしい。 柔道をやってるらしい。 まぁそんな感じの体格ポカったけど。 その時はお礼を言って終わったらしいんだけど、最近になって同じ塾だって事が分かって一緒に居る事が多くなったって事を教えてくれた。 「滝川君はね、お姉さんの旦那さんがアメリカの人で会話がどうしても英語になっちゃうらしくって必然的に英語が上手くなったんだって」 柔道で来て英語も得意。文武両道ってヤツですか。 そんなもんひけらかして奏音に近づくとか本当害虫め。 でも塾じゃあ私は手出しできないし。 他の碌でもないのが近づくよりは助けてくれたって事でマシなのかな。 ただ気になるのは、滝川君の存在が私に分かってからやたらと会話の端々に滝川君が登場することだ。 今日は朝から奏音に塾の後、外でご飯を食べようと誘いがあった。 奏音と外でご飯とかいつぶりだろう。 浮かれ気味に塾の前でいつものように待っていると、アルコールが入ったスーツを着た男性二人が私の目の前で立ち止まった。 「何してんの?」 吐く息がアルコール臭い。 関わりあいになりたくなくて『人待ってますので』と断りを入れて体を一歩ずらす。 「こんな遅くに人待ってるの?」 今日はいつもより早くて20時だ。 そんな遅くないし。そう思いつつも『そうですね』とだけ答える。 早く奏音来ないかな。 「この辺物騒だから一緒に待ってあげようか?」 いやいや、全然物騒じゃないし。 それよりあんたたちの方が物騒だし。 なんて事は言わないけれど。 面倒くさいからちょっと先のコンビニに行こうかな。 歩き出そうとした瞬間『羽音』と私の呼ぶ声がして奏音が階段を下りてきた。 すると二人の男が色めきだったのが分かった。 「何?あの子と待ち合わせ? 可愛いね?友達?」 オッサン二人を押しのけるようにして奏音の手を取って歩き出す。 「ちょっと待ってよ。ねぇご飯食べようよ」 腕を掴まれる。 「離してください!」 「ああ、ゴメン。君より彼女の方がいいなぁ。ね、一緒にご飯食べない?」 一人の男が奏音の腕に触れようとした瞬間、私がその手を上から叩く。
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