第1章

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俺が姉さんを殺してから世界はエンターテイメントに優れていて、誰もが愛させていることを神様は教えてくれた。 今日も心地よい気怠さで何処と無く車で走る。 久しぶりに実家に帰っても良さそうだった。時間も金もあるし、何一つ不足していない。もし、文句を付けていいとしたら、最近、女の死骸に慣れて来ていることだろう。つまり、天職のマンネリ化だ。 いつの時代だって、シリアルキラーは不幸の道を辿る。警察に尻尾を掴まれて、死刑やら終身刑やら負わされて、人間としての良心に苛まされるのがオチだ。 だが、俺は違う。下手な殺しはしないし、世界を楽しませるために悪役を担うのだから、人間としてのあれこれは全く必要としない。 ただ悪役を担う上で欲しいものがあるとするならば、〝本当の死〟だ。どこかに転がっているなら、徹底的に探して、見つけなければ俺の人生、全くの無意味だ。 女共は俺の偽りの饒舌に惹かれて寄って来る。鏡の中の俺はなかなか悪くない。 バカは殺されても気付いてないからバカなんだよ。そんなヤツしか相手出来ない俺の身にもなって欲しいね。 俺は山中を中古車で走りながら、残り少ない麻薬を見て、やれやれと溜息を吐いた。 俺の心を沸き立たせるようなCOOLなものはないかな…。
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