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バス停は歩いて25分程の所にあった。暗闇の中、鼠が脚を掠める。ヤツらは大量にいて、いつでも俺を見張っている。
まあね、見守られている、と考えた方が気分は良いんじゃないの?
殺人材料調達にするには実家近くはマズすぎる。今日は大人しくおネンネしておきますか。
バス停は少し雨で濡れていた。
学生時代、何のスポーツもしなかったせいか、微妙に疲れた。後悔したくてもできない体質なせいで、割りと青春していたとしか記憶していない。
あの頃からかな。マスクを被るようになったのは。
明日は休み明けだからシーツを何枚も洗わなくてはならない。忙しくしているフリで何とか食べていけるが、やはり天職の方が気にかかる。
雨が降り出す。バス停の屋根の下で横になる。こんな所でバス待ちするのは俺だけだ。
錆び付いた時刻表に朝の6時45分着バスがあるのをチェックすると雨の音を聴きながら眠り始めた。
古書を抱いたまま夢を見る。
発狂した錬金術師が俺を見透かすように空中から眺めていた。
そいつは血の涙を流して何か叫んでいた。
多くの民衆が「死刑!死刑!」と叫んでいる。
俺は身震いした。
民衆達が俺を見つける。走って来る。その手には凶器が握られていた。
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