十々海レッカ5

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結果的に何が出来たのかと言えば、何もできなかった。 何の役に立てたのかと聞かれれば、何も役に立てなかった。 格好良く錦之宮楓を残し、飛び出したは良いものの、結果から見ればお粗末な物だった。 万丈圭吾は死に、校舎は三割ほど壊れ、被害の原因とも言える東堂大貴すらも僕は止める事が出来なかった。 異能力は脳から出る信号の異常が具現化した物。 その辺はニュアンス的に分かっていたので、暴走した東堂を気絶させるように仕向けた。 だからわざわざ彼の耳元で万丈圭吾の死を告げ、僕を殴るようにさせた。 結果として、彼の拳は彼の横顔にヒットした。 漫画やアニメで良くある自滅って奴だ。 自分で撃った誘導ミサイルが自分に返ってくるような感じのやつ。 でもよくよく考えたら、ハエを叩こうとして間違って自分を叩き、気絶しちゃいましたって。 そんな奴いないだろう。ハエにどれだけ全力を向けてるんだって話だ。 東堂大貴の場合も同じだった。 奴の拳で奴自身を殴らせたはいいが、それで気絶なんてしてくれなかった。
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