赤霧孝之助1

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時を止めるのはそうそう簡単な作業ではない。ドラえもんの道具ほど都合よくはできていない。 ディオのスタンドのように、すんなりと時は止まらない。 巻き戻しと早送りもしかりだ。同じ理屈だ。 彼からすれば、時を止めて錦之宮楓の喉物にナイフでも突きたてれば終わりと。 そんな簡単な解釈をしているのだろうけど。 実際はそんなに上手くいかない。そんなに甘くない。 まず時を止めると言う解釈の根底から直そうか。 皆の誤解を解こうか。 そもそも時を止めたからと言って、どうして時を止めた本人は動けるのだろう。 のび太くんや、デュオは動けるのだろう。そこからすでに甘い。現実的ではない。 時が止まっているのだから、その止めた本人も止まるのが道理。世の中の摂理。当たり前だ。 時を止めたからと言って、ではその中で私が動けるのだと、どうして皆はそう解釈する? 止めた時の中で、私だけが動ける? あはは。そんな訳がないだろう? 発火する能力を持つ人物が、自分すらも燃やしてしまうのと同じなのだよ。 私は時間を止められる。しかしその止まる範囲は、私とて例外ではない。 私も含めた時間が止まる。 つまり私も一緒に止まる。巻き添えになる。
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