1996人が本棚に入れています
本棚に追加
/415ページ
しかしそれは間違いだった。
大きな、そして愚かな間違いだった。
気付けるはずだった。
全ては私が若く、そして未熟だったせいだ。
散々異能力の誤解を解くために御託を並べる私でさえも、異能力を軽視した時期はあった。
いや、軽視した時期があったからこそ、こう言う性格になってしまったと言うべきか。
とにかく、私の考えは甘かった。当時、異能力を軽く見ていた。
体が動かせるようになってから初めて気が付いた。
分からされた。
時を止めると言う事が、私の身にどれだけ危険を及ぼすかを。
アニメや漫画の主人公では、時を止めても普通に移動する。
部屋を出て、家を出て、銭湯に行き、女湯を覗き見る。
この前たまたま見たアニメの様子だ。結局その後、時間が突然動き出して主人公は女湯から叩き出されるのだが。
石鹸やらオケやら、タオルやらが飛んできて、それと一緒に主人公が銭湯から叩き出されるのだが。
非常に滑稽だった。ついつい笑ってしまった。
内容が面白かったからではない。私もいい大人だ。別にそんなアニメで声を上げて笑わない。
では何で笑ってしまったのか。
そのアニメは「時を止める」と言う事の本質を分かっていない。
「時を止める」と言う行動がどういう物か、さっぱりと理解していない。
それが滑稽だった。
最初のコメントを投稿しよう!