赤霧孝之助1

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しかしそれは間違いだった。 大きな、そして愚かな間違いだった。 気付けるはずだった。 全ては私が若く、そして未熟だったせいだ。 散々異能力の誤解を解くために御託を並べる私でさえも、異能力を軽視した時期はあった。 いや、軽視した時期があったからこそ、こう言う性格になってしまったと言うべきか。 とにかく、私の考えは甘かった。当時、異能力を軽く見ていた。 体が動かせるようになってから初めて気が付いた。 分からされた。 時を止めると言う事が、私の身にどれだけ危険を及ぼすかを。 アニメや漫画の主人公では、時を止めても普通に移動する。 部屋を出て、家を出て、銭湯に行き、女湯を覗き見る。 この前たまたま見たアニメの様子だ。結局その後、時間が突然動き出して主人公は女湯から叩き出されるのだが。 石鹸やらオケやら、タオルやらが飛んできて、それと一緒に主人公が銭湯から叩き出されるのだが。 非常に滑稽だった。ついつい笑ってしまった。 内容が面白かったからではない。私もいい大人だ。別にそんなアニメで声を上げて笑わない。 では何で笑ってしまったのか。 そのアニメは「時を止める」と言う事の本質を分かっていない。 「時を止める」と言う行動がどういう物か、さっぱりと理解していない。 それが滑稽だった。
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