赤霧孝之助1

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これまでも教員が死ぬのは何度かあった。 教員だけではない。時には生徒も死ぬ事はある。 もちろん教員に比べて生徒が死ぬ事は滅多とないが。 その度に私がこうして能力を行使しなければならない。 校長と言う名前と責任は伊達ではない。 「ふぅ……」 ようやく全ての作業が終わり、誰に見られる事なく息を吐いていた時だった。 安らぎの時間。リラックスできる時間。 誰に見られる事なく。 そう。誰もいないはずだった。この校長室には私以外、人はいないと思っていた。 だからこそ私はリラックスし、一時的にではあるが肩の荷を降ろした気持ちでいた。 誰にも見せる事のない、砕けた自分を出した時だった。
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