十々海レッカ1

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「彼女の異能力は単純かつ明解。念力さ」 「念力……?」 念じる力の、念力。 異能力と言う部類の中では、比較的よく聞く言葉だ。実際見た事はないが、アニメや漫画では結構ありふれた能力の一つだ。 想像しやすい。 「物に触れなくても、それを動かせるとか。そういう類の物ですか?」 「その通りだ」 「…………」 念力。その力がどれほどの物かは知らないが、奇抜な物でなくて良かった。 暗殺は金さえ払ってくれればきっちりこなす。例えそれが自分の学校の生徒でもだ。 暗殺を依頼する奴もそうだけど、される奴だってろくなのはいない。大概は誰かの恨みをかって暗殺される。 きっとこの錦之宮楓も何かしたのだろう。僕はいつもそう思いながら暗殺を実行する。 校長からの依頼でも、もちろん受けよう。金さえ積まれれば動く。 よほど理不尽で人の尊厳を無視した暗殺ではない限り、僕は動く。 いや、すでに暗殺自体が理不尽であり、人の尊厳を無視した行為なのだが。 要は僕の基準で、気に入らない暗殺でない限りは金次第って事。 弱い者いじめみたいな暗殺は好まない。僕はそんな仕事は引き受けない。大した理由もない暗殺もしかりだ。 暗殺されていいのは、暗殺される程の理由のある奴だけ。 その暗殺される程の理由ってのは、やっぱり僕基準だけど。僕が納得すればそれでオーケーって事だ。 だから今回の件も別に何も気にしていない。ただちょっと特殊な力を持った女を一人、殺すだけだ。 その力がたかが念力で良かった。
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