赤霧孝之助1

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「っーー!」 瞬間的に私は時を止める。反射的にと言ってもいいだろう。 喧嘩の時、殴られそうになったら身構えるのと同じで、反射的に時を止めた。 身の危険を感じ、時を止めた。 誰もいないと思っていた。気配なんて物は全くなかった。 まるで空気から出てきたかの様に、奴はそこにいた。 私に向かって銀に光るナイフを突き出していた。 その先端が、私のほんの数センチ、目の前まで迫っている。 それが届くよりゼロコンマ数秒先に、私が時を止めた。 目の前に、まさしく眼球の数センチ前に、ナイフの先端がある。 私に向かってそれを向ける男の姿がある。
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