赤霧孝之助1

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「なっーー!」 その瞬間だった。私にとっては長い時間。時を止めた間の時間。 しかし黒マントの男からすれば一瞬だったはずだ。瞬きをする時間すらなかったはずだ。 だがその一瞬の時の中で、黒マントは私の方を向いた。迷わず、私に向かってきた。 背後に一瞬で回り込んだはずの私を、黒マントは一瞬で見つけ出した。 「くっーー!」 私に向かってナイフが振るわれる。それを一度だけ捌き、再び私は時を止めた。 時と共に男の動きも止まる。 何だ、こいつは。何なんだあの動きは。 こいつからすれば私はテレポートした様に見えるはず。一瞬で目の前から消えた様に見えるはず。 だがそれをこいつは、まるで見ていたかのように平然と私を見つけ出した。テレポートをした私の位置を瞬時に割り出した。 こいつは私の動きについてきた……。
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