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「…………」
私は彼からゆっくりと離れ、距離を取った。
そこから再び時間をスタートさせる。
「厄介な能力だ」
そのすぐ後。奴が口を開いた。仮面の男が口を開いた。
繰り返す様だが、奴からすれば私は一瞬で消えた様に感じるはずなのだ。
なのに黒マントは、まるで私の位置を知っているかの様に、さも平然とこちらを向いた。当たり前のように、その動作を行った。
時をスタートさせたと同時に話しかけてきた。
「お前を殺せば、あいつへの依頼が無効になると思ったんだけど」
「あいつ……」
誰の事を話しているかは明白だ。私の頭の中ですぐさま彼の顔が浮かんだ。
あいつ。依頼。無効。
間違いない。十々海レッカの事だ。
こいつの目的は私の殺害。それによる十々海レッカとの関係を切る事。
つまり十々海レッカに与えられている依頼を無効にする事。
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