赤霧孝之助1

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「…………」 私は彼からゆっくりと離れ、距離を取った。 そこから再び時間をスタートさせる。 「厄介な能力だ」 そのすぐ後。奴が口を開いた。仮面の男が口を開いた。 繰り返す様だが、奴からすれば私は一瞬で消えた様に感じるはずなのだ。 なのに黒マントは、まるで私の位置を知っているかの様に、さも平然とこちらを向いた。当たり前のように、その動作を行った。 時をスタートさせたと同時に話しかけてきた。 「お前を殺せば、あいつへの依頼が無効になると思ったんだけど」 「あいつ……」 誰の事を話しているかは明白だ。私の頭の中ですぐさま彼の顔が浮かんだ。 あいつ。依頼。無効。 間違いない。十々海レッカの事だ。 こいつの目的は私の殺害。それによる十々海レッカとの関係を切る事。 つまり十々海レッカに与えられている依頼を無効にする事。
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