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心配なのは……。
僕が気にかかった事は。
「分かりました」
錦之宮楓の心だ。
すり替えられる教師。皆の記憶から消える死人。
それを目の当たりにして。
その事実を知って。
それでもなお、彼女はあの明るさなのか。
あの笑顔なのか。
誰よりも強い力を持ち、ただでさえ浮き彫りになる彼女が。
教師の裏側を知る彼女が。
それでもあれだけ笑っている。明るく振舞っている。
それがむしろ僕には怖く見えた。
不気味に見えた。
彼女の心は、どれだけ荒んでいるのだろう。
彼女の心と体は、すでに切り離されているのかもしれない。
錦之宮楓。
余計に彼女の事が分からなくなる。
不気味に思えてくる。
僕は教室の扉を開けた。
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