十々海レッカ1

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「厳密に言えば、計算上の話ではあるのだが。 彼女の念力は日本、地球に収まらず、太陽系、銀河系にまで及ぶと推測されている。 要はその気になれば彼女は、銀河を丸ごと一つ破壊する事が出来ると言う事だ」 「…………」 赤霧孝之助は淡々と、とんでとない事を僕に告げる。信じられない事実を畳み掛ける。 僕はそれに対し、開いた口が閉まらない。 それはもう「念力」と言う言葉では収まらないだろう。超能力って言葉ですら役不足だ。 超常現象の類。天変地異。厄災。 つまり錦之宮楓が指をクイっと動かせば、月が地球に降ってくる可能性もある訳か。 ふざけるな。どこの魔人だ。 「だからこそ君にお願いしたい。十々海レッカくん」 今回の案件。ただの生徒の暗殺にしては額が高いなと思っていた。 妙に金額が大きいなと、疑問に思っていた。 ようやく合点がいった。辻褄が合った。 そういう事か。だとするならば、逆に値段が安すぎる。破格もいい所だ。 つまりこれは、失敗すれば僕の命だけでは済まない。 僕だけの命どころか。地球全ての命が消える可能性だってある。 そしてその命が生まれ変わる場所すらも、全てなくなる可能性がある。
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