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「失礼します」
考え事をしていると、十々海レッカが校長室にの扉を開けた。
もちろんノックを2回している。その辺り、この十々海レッカは抜かりない。
不躾にノックもなしに入ってきて、私にナイフを向けてきた透矢崎ヒジリとは違う。
彼は人間らしい暗殺者だ。そこは私が一番評価している。
今思えば、兄弟なのに真逆の暗殺者なのだな。彼らは。
暗殺者らしい暗殺者の透矢崎ヒジリ。
暗殺者ではあるが、暗殺者らしからぬ事が持ち味の十々海レッカ。
「やぁ、待っていたよ」
「突然お時間をいただく事になり、すみません」
ぺこりと頭を下げて、十々海レッカは僕の前まで歩いてくる。
そこで彼は咳払いを一つした。
「実は協力してもらいたい事があります」
「それは校長の私にかい?それとも依頼主の私にかい?」
「1人の人間としての、赤霧孝之助氏にです」
おや、これは少し驚いた。
私個人に対して協力して欲しいと。
つまり十々海レッカは、暗殺者としてでもなく、教師としてでもなく、十々海レッカ一個人として私に協力してもらいたい事があると。
私のイメージでは、彼は必ず他人と一定以上の距離を保つようにしていると思っていたのだが。
どう言う心境の変化だろうか。
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