十々海レッカ2

5/14
前へ
/415ページ
次へ
「アニメや漫画でよくあるじゃないですか。異能力のやつ。 あんなのを想像してました」 もっと異能力を使いこなして、イタズラしたりするイメージがあった。 学校の中では異能力を行使するのが禁止されていて、それでも生徒たちは面白おかしく能力を使う。 それで空を飛んだり火を点けたり透視したりする生徒に対して先生が「こらー!」って怒りながら追いかけるイメージ。 そう言う明るいイメージが、僕の中にはあった。 これは建前ではなく本音。本当にそんな感じだと思っていた。 万丈圭吾はそれに対して肩をすくめた。 こいつ、教師って割には髪は長いし金髪に近い色だし、ピアスだし。 チャラ男か。教師ってのは嘘で、実は生徒じゃないのか? 「ここの奴らは制御できなくなった力をコントロールするためにここにいるからな。 喜んで自分の能力を使う奴なんてそうそういないと思う。使っても上手くいかないしな」 見た目とは裏腹に、結構まともに話せる。むしろ話している内容としては教師っぽい。 万丈圭吾。変な奴だな。見た目と中身があんまり合ってない。まぁ今は関係ないが。 彼の話の中の言葉。「上手くいかない」か。 僕にはその異能力の類が全くもって分からないから、そのニュアンスが通じない。 異能力の何がどう成功すれば「上手くいく」のか、何がどう失敗すれば「上手くいかない」のかがいまいち読み取れない。 「今から体育だけど」 「あぁ。2時間連続ですね」 「そうそう」 2時間連続の体育。朝から連続体育なんて、子供は元気だ。元気はいいんだが。 しかしなんでまた2時間連続……? そんな学校、聞いたことないけど。 体育科って訳でもあるまいし。
/415ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2000人が本棚に入れています
本棚に追加