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「僕と、戦っていただけませんか?」
そう言う彼は、少しだけ疲れているように見えた。疲れていると言うか、やつれていると表現した方がいいだろう。
何だ。彼は何かに悩んでいるのか……?
「……それをして何の意味がある?」
「確かめたい事があります」
そこまで言うと、彼はあからさまに殺気を出してきた。私に向けて。依頼主である私に向けて、人間らしい暗殺者の十々海レッカは殺気を出してきた。
人間らしいはずの暗殺者が、私に牙を見せてきた。
なるほど。これは私が断っても襲ってくるつもりだな。それほどまでに彼は詰まっているのか。
さて、どうした物か。
十々海レッカの目的は分からない。協力と言っていたが。戦ってメリットのある話があるとは思えない。
「歳上の、1人の人間としてお願いします」
「…………」
1人の人間として、か。うむ。彼がそう言う頼り方をするのはもっと別の人間だと思っていたが。
少なくとも私のような人間ではないと思っていたが。どうやら彼は相当思い悩んでいるらしいな。
何が目的かは知らない。分からない。だが彼も人間だ。
私が選んだ人間らしい暗殺者だ。だからただの遊びでこういう事はしないだろう。
この結果により、彼は何かを得るのだろう。ならば私が出す答えは一つだ。
歳上の、私の胸で良ければ、お貸ししよう。
「いいだろう。受けて立とう」
そう言ったと同時、十々海レッカは私に向かって拳を繰り出した。
前に校長室の机があるというのに、お構い無しだ。机の上に書類があると言うのに、全く構わない。
彼は机の上に体を乗り上げながら私を殴りに来た。書類をぐちゃぐちゃに踏みつけながらも、彼は私に向かってきた。
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