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私は瞬時に時を止め、対処する。
十々海レッカの動きが止まる。全ての動きが止まる。そして驚いた。彼がナイフを握っていた事に驚いた。
振り上げたのは拳ではない。彼はナイフで私を斬りつけるつもりだったのか。
一体このナイフはどこから取り出したのだろうか。抜く素振りはなかったように思うが。
この辺り、やっぱり彼らは兄弟なのか。透矢崎ヒジリと十々海レッカ。
ナイフの扱い方がよく似ている。
暗殺者としてはやはり一流。
「っーー!」
私は彼の背後に移動し、時を動かした。
すると透矢崎ヒジリの時と同様、彼はすぐさま私の姿を見つけてナイフを繰り出す。
まるで私がそこに移動する事が分かっていたかのように、十々海レッカはすぐに対応してくる。
「どう言う手品だろうか」
私は再度時を止めた。
何故彼らには私が移動した場所を特定出来るのだろう。彼らにとって私は、瞬間移動と思えるくらいの速度で移動しているはずなのだが。
万丈圭吾と遜色ない移動速度のはずなのだが。
透矢崎ヒジリの件もあったため、今回はそう驚かなかった。
私は私で冷静に対処できた。
瞬間移動に対処してきた十々海レッカの動きに、対処できた。
できたのだが。
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