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だが時を二度止めて感じた。
妙な違和感を感じた。
時を止めなくても、今の彼なら勝てる。私の方が強い。地球から、木星や土星だと思っていた星に手が届く。届くどころか、叩き落とせる。
だから単純に距離を置き、ナイフを受け流して投げ技を決めた。思惑通り、その投げ技はすんなりと綺麗に決まった。
こんな暗殺者ではないはずだ。十々海レッカはもっと強い。本来ならばもっと強い。
強いながらも、人間性のある暗殺者。
だから私は彼を雇ったのだ。
「十々海レッカ。まさか君はーー」
彼は素早く起き上がり、再び私に向かって拳を奮う。襲いかかろうとする。
ナイフはさっき彼が投げられた時にとんでいった。少し距離のある所に落ちた。
私は彼の動きを読み、次は足を引っ掛ける。彼の進もうとする場所に、私の足を前もって伸ばしておく。
その単純明解な、技とも言えないような動きに、十々海レッカはあっさりと引っかかった。
私の足に引っかかって、転けた。
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