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「僕は暗殺者失格です。ターゲットに対して、情を沸かせてしまった」
「……それは、私に解雇してくれと。そう言っているのかい?」
「……はい」
さて。なかなか話がややこしくなってきた。こじれてきた。
十々海レッカはどうやら、錦之宮楓に同情しているらしい。殺意を抱けなくなっているらしい。
銀河をも壊す彼女に。巨大ニトロ爆弾のような彼女に。
情を沸かせてしまったらしい。
「それは困るね。君でないと、彼女は殺せない」
「あなたに負ける程度の戦闘力で、彼女を殺せるとは思えません」
「はっきり言うね」
私に負ける程度の戦闘力。
ははは。十々海レッカくん。それは私に対しての皮肉だよ?
まぁ彼はそう言ったつもりはないのだろう。皮肉を言ったつもりはないのだろう。
何度も言うが彼はそう言う暗殺者じゃない。目上の人間に皮肉をペラペラと言う暗殺者ではない。
人間らしい暗殺者。社会人として通用する暗殺者。
逆に言えば、皮肉を皮肉だと気づけないレベルで、彼は悩んでいるのか。
さっきの言葉が皮肉だと自覚できないくらい、彼は悩んでいるのか。
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