赤霧孝之助2

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「錦之宮楓が、君に頼んだのかい? 殺さないで下さいと」 「…………」 錦之宮楓の暗殺の失敗。それは十々海レッカからきちんと報告を受けている。 まぁ別にいきなり成功するとは思っていない。 彼女の殺す方法が、いきなり見つかるとは思っていない。それが出来れば苦労はしない。 「彼女は死を望んでいるはずだ。君の事を「絶望の闇」ではなく「希望の光」として認識しているはずだ」 忘れもしない、錦之宮楓と初めて出会った日。 彼女は私に向かって。初対面の私に向かって。 こう言ったのだ。 「あなたも能力者なんですよね? お願いです。私を殺して下さい」 彼女は自分を殺せる人を探している。求めている。 必要としているのだ。 だから私は暗殺者を差し向けた。 殺しのプロを雇った。 しかしただの殺しのプロではダメだ。歯が立たない。力に力で対応しても、錦之宮楓にはかなわない。 そういう意味でも、十々海レッカは最適なのだ。彼は色んな目線からの暗殺を知っている。ナイフと銃だけではない、色んな角度からターゲットを見る事が出来る。 私は確信している。十々海レッカでなければならない。彼以外、錦之宮楓を殺せる可能性を見出せる人物はいない。 私がそこまでして錦之宮楓を殺したい理由はいくつかある。 大小兼ねて多々、理由はある。 彼女が危険だと言うのももちろんある。 だがそれ以上に、彼女が死を望んでいるからだ。 自分の存在が消える事を、願っているからだ。
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