2000人が本棚に入れています
本棚に追加
「錦之宮楓が、君に頼んだのかい?
殺さないで下さいと」
「…………」
錦之宮楓の暗殺の失敗。それは十々海レッカからきちんと報告を受けている。
まぁ別にいきなり成功するとは思っていない。
彼女の殺す方法が、いきなり見つかるとは思っていない。それが出来れば苦労はしない。
「彼女は死を望んでいるはずだ。君の事を「絶望の闇」ではなく「希望の光」として認識しているはずだ」
忘れもしない、錦之宮楓と初めて出会った日。
彼女は私に向かって。初対面の私に向かって。
こう言ったのだ。
「あなたも能力者なんですよね?
お願いです。私を殺して下さい」
彼女は自分を殺せる人を探している。求めている。
必要としているのだ。
だから私は暗殺者を差し向けた。
殺しのプロを雇った。
しかしただの殺しのプロではダメだ。歯が立たない。力に力で対応しても、錦之宮楓にはかなわない。
そういう意味でも、十々海レッカは最適なのだ。彼は色んな目線からの暗殺を知っている。ナイフと銃だけではない、色んな角度からターゲットを見る事が出来る。
私は確信している。十々海レッカでなければならない。彼以外、錦之宮楓を殺せる可能性を見出せる人物はいない。
私がそこまでして錦之宮楓を殺したい理由はいくつかある。
大小兼ねて多々、理由はある。
彼女が危険だと言うのももちろんある。
だがそれ以上に、彼女が死を望んでいるからだ。
自分の存在が消える事を、願っているからだ。
最初のコメントを投稿しよう!