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「十々海先生。自分の能力は嫌なら見せなくていいぞ。別に見せないといけないって規則はないから」
「……はぁ」
「嫌がる奴もいるんだよ。自分の能力を見せるのを」
やはり想像と違う。つまりクラスのみんながそれぞれ、誰がどんな能力を持っているかを把握している訳ではないのか。
「ちなみに万丈先生はどんな能力をお持ちなんですか?」
その問いを投げた後に、万丈圭吾が少し気まずそうな顔をした。バツの悪い顔と言うか。
「……あー。うん。まぁいいか」
「…………?」
まぁいいか?
首をかしげていると、突然、急に、目の前から万丈圭吾がいなくなった。
煙みたいにとか、そんなレベルじゃない。まばたきすらしていないのに、突然消えた。まるで最初からいなかったみたいに。
万丈圭吾の代わりに、彼の後ろにあったはずの背景が僕の目に突然飛び込んできた。
彼の体で見えていなかった景色が、突然見えるようになった。
「テレポート」
「ーーっ!」
そのすぐ後に飛び込んできた声。僕の背後から聞こえてきた声。
それに思わずびくりとした。体を震わせた。
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