十々海レッカ10

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「二人の遺体は速やかに処理される」 「処理……ですか」 「そうだ」 埋葬ではなく、処理。 僕の言いたい事が分かったらしく、赤霧孝之助は無表情で僕に向かって言った。 「公にはできない。これから水之上先生には出張に出てもらい、彼らの記憶のある人物を片っ端から当たってもらう。そこで全ての記憶を消してもらう。最初から存在しなかった事にしてもらう」 つまりそれが処理。埋葬と言う言葉ではなく、処理。 彼らの死を晒さずに、隠し通すための行動。 「話し合わなくてはならない議題はたくさんある。だがそれよりも先に、2人の遺体を葬る。まずはそこからだ」 話し合わなくてはならない議題。おそらくそれはこの惨状を作り出した人物についてだろう。 2人を殺した犯人についてだろう。 「錦之宮楓にはきちんと別れを告げさせる。その時間はもちろん用意する」 そう言って赤霧孝之助は錦之宮楓の父親の体を持ち上げた。母親の体を一度見て、僕に言う。 「手伝ってくれ。すぐに火葬する」 「……はい」 僕は彼女の母親の体を、そっと持ち上げた。 まだ暖かかった。
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