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火葬は速やかに行われた。
本当に速やかに。2人の体を持ち上げ、校舎の裏に行き、土の上に下ろしてすぐに準備が始まった。
お通夜とか、お葬式なんて物はない。非常に速やかに、その処理は実行された。
保健室に連れて行かれた錦之宮楓のカウンセリングがきちんと出来たのかも分からないまま、すぐに行われた。
その日に、その時間に、猶予もなく、すぐにだ。
錦之宮楓の立会いのもと、その場ですぐに火葬は開始された。
錦之宮楓は心ここに在らずといった様子だった。どうしてこうなったのか分からない。理解出来ない。
まだ二人の死が信じられない。目の前で何が燃えているのか分からない。
そんな様子の表情だった。
「水之上先生。後は十々海先生に任せよう」
「……赤霧校長。カウンセリングはまだーー」
「大丈夫だね?十々海先生」
赤霧孝之助は鋭い目を僕に向けた。僕はうつむきながら、短く答えた。
はい、と。
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