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「瞬間移動ってやつだ」
「驚きました」
本当にテレポートだ。瞬間移動だ。異能力。言葉では聞いていたけど、実際に見るとやはりビックリする。
本当に目の前から一瞬で消えて僕の背後から現れた。
こんな物が本当にこの世にあったなんて。
別に万丈圭吾や赤霧孝之助の言葉を疑っていた訳ではないが、改めて目の当たりにするとやはり驚く。
自分の目を疑ってしまう。
「一つ注意だ、十々海先生」
「はい」
万丈圭吾は人差し指を立てて歩きながら僕に言った。
「他人の異能力を聞くのはマナー違反。さっきも言ったが教えたくない奴だっている。
先生が相手ならなおさら、聞かれた生徒はその一言で心を閉ざす。注意してくれ」
「分かりました。失礼しました」
「俺は別にいいさ。教えたくないって訳でもないから」
なるほどな。それで僕が能力を聞いた時、難しそうな顔をしたのか。
さっきの「まぁいいか」という言葉の要因はこれか。
感覚で言うとテストの点数みたいな奴かな。教えたくない奴だっている。聞かれて心を閉ざす。
まぁでも教師と生徒と言う関係上、聞かなくてはならない場面もあるだろう。その辺りの感覚は万丈圭吾と付き合いながら掴んでいくか。
それにしてもこの万丈圭吾とかいう奴。いや、奴じゃないな。先生。万丈圭吾という先生。
チャラチャラしているようで、案外人としての的は外れていない。見た目はチャラ男だが、中身は結構まともな人間だ。
見た目によらずいい先生なのかもな。
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