十々海レッカ2

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「瞬間移動ってやつだ」 「驚きました」 本当にテレポートだ。瞬間移動だ。異能力。言葉では聞いていたけど、実際に見るとやはりビックリする。 本当に目の前から一瞬で消えて僕の背後から現れた。 こんな物が本当にこの世にあったなんて。 別に万丈圭吾や赤霧孝之助の言葉を疑っていた訳ではないが、改めて目の当たりにするとやはり驚く。 自分の目を疑ってしまう。 「一つ注意だ、十々海先生」 「はい」 万丈圭吾は人差し指を立てて歩きながら僕に言った。 「他人の異能力を聞くのはマナー違反。さっきも言ったが教えたくない奴だっている。 先生が相手ならなおさら、聞かれた生徒はその一言で心を閉ざす。注意してくれ」 「分かりました。失礼しました」 「俺は別にいいさ。教えたくないって訳でもないから」 なるほどな。それで僕が能力を聞いた時、難しそうな顔をしたのか。 さっきの「まぁいいか」という言葉の要因はこれか。 感覚で言うとテストの点数みたいな奴かな。教えたくない奴だっている。聞かれて心を閉ざす。 まぁでも教師と生徒と言う関係上、聞かなくてはならない場面もあるだろう。その辺りの感覚は万丈圭吾と付き合いながら掴んでいくか。 それにしてもこの万丈圭吾とかいう奴。いや、奴じゃないな。先生。万丈圭吾という先生。 チャラチャラしているようで、案外人としての的は外れていない。見た目はチャラ男だが、中身は結構まともな人間だ。 見た目によらずいい先生なのかもな。
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