十々海レッカ10

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「な……んで……」 何で。 何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で。 何で。そんな顔が出来るんだ。 自分の親が殺されて。死んで。いなくなって。消えてしまって。 心のよりどころがなくなって。支えがなくなって。大切な人がいなくなって。 なのに。どうして。 僕に向かって「大丈夫」なんて言葉が出て来るんだ。 「私は大丈夫。大丈夫だよ」 彼女は僕に聞かせるように、そして自分自身にも言い聞かせるように、何度もそう言った。 大丈夫と言う言葉を口にした。 彼女は分かってるんだ。 自分が泣けば。泣き叫べば。 自分の力が暴走する事が。 分かってるんだ。 だから彼女は言うんだ。 大丈夫。 大丈夫。 何度も、何度も、大丈夫と。
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