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「保健体育の先生って事は……もしかしてエロいのか?」
「何でそうなるんですか」
「いや、そういう目的で保健体育の先生になる奴だっているだろ?」
「全国の保健体育の先生に謝って下さい」
そういう目的でって、どういう目的だ。確かに保健体育で性について勉強する時はクラスの中が微妙に気まずくなったりしたが。
そもそも教師であるお前が、保健体育をそんな目で見るな。保健体育は保健体育だ。エロくも何ともない。
むしろその言葉でエロい発想をする万丈圭吾、お前の方がよっぽど危険だ。
「ははは。それなりに喋れるんだな。なら心配ないか」
「心配……?」
「あぁ。それなりに口が回れば、生徒たちの緊張感もほぐれるって話だ」
なるほど。あれだけ殺伐としたクラスの生徒だ。確かに担任くらいは明るくなくては困る。
つまり僕は試されたのか。生徒と話して、生徒側の空気に呑まれないかどうかを。
そう言う意味で冗談を交えたのか。こいつ、若いのに結構考えてる。
「さて、そろそろ体育館だ。十々海先生は取り敢えず見ててくれ。
普通の学校の体育とは少し違うから、戸惑うと思うけど」
「分かりました」
少し違う。まぁ2時間連続の体育だから、何かしら特別な理由でもあるのだろう。
それに異能力者の集まる学校だ。普通の授業だなんて最初から思ってない。
そんな事を思いながら僕は体育館に入った。足を踏み入れた。そして目を見開いた。
驚かされた。
授業内容以前の問題だった。普通の授業とか、そんなレベルの話じゃない。
授業が異常であるかないかとか、そんな事を論ずる前に、すでに体育館が普通ではなかった。
普通の体育館ではなかった。
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