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「その宝石を狙う輩も、世の中には多くいる。
生徒の半分くらいは、そういう輩に出くわした経験がある。そいつらから逃げるための訓練だ。
街中や路地、さらには家の中でも自在に動け回れるように、とにかく色んな障害物で訓練しておく」
「訓練……」
異能力を狙う組織的な奴らから、自分の身を守るために訓練する。
それがつまり体育か。
確かにアニメや漫画でも必ずと言って良いほど異能力者を狙う組織は出てくる。登場する。そいつらも恐らく、この学校と同じく、アニメや漫画のように生易しい物ではないのだろう。
どんな手段を使ってでも、彼らの宝石を取りに来るのだろう。奪いに来るのだろう。
あるいは彼らの身柄をそのまま確保したりするのだろう。
それでこの体育館。それでこのランニング。それで2時間連続の体育。生徒達がここまで真剣な理由が分かった。
ここでは体育が何よりも重要なんだ。生徒達が自分の身を守るために、何よりも重点的に鍛えないといけない事なんだ。
「止め!5分休憩!その後は組手だ!」
パンパンと手を叩いて声を張り上げる万丈圭吾。
その姿はもう学校の教師ではない。どちらかと言えば訓練所の鬼教官だ。
たった数分のランニングだが、すでに生徒達の息は切れている。汗を流している生徒もいる。
この学校の姿が、少しずつだけど見えてくる。
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